★税理士三瀬のコーヒーブレイク★4
相続に対する心構え
秋の夜長、事務所で一人、満月を見ながら、相続税申告書の作成の作業を止めました。
ふと、この亡くなられた方の人柄を想像しました。
相続税の税務申告、調査対策の仕事を進めていく中で、亡くなられた方に直接お会
いして、疑問点をお聞きすることはできません。
だけど、亡くなられた方の財産評価や預金整理をしていく過程で、この方はどのよ
うな生き方をしていたのか、幸せだったのか、波瀾万丈であったのかといろいろ想
像しながら仕事を進めます。
ある著名な税理士が相続税申告において一番大切なことは何ですか?という質問に
対して、「亡くなった方の事を想うことです」と。
それを聞いたとき、私の相続に対する考え方に一致する部分を感じたと同時により
一層、その事に対する意識を高めました。
通常、相続税の申告書をまとめるにあたりまして、遺族の方から亡き人のことをお
聞きし、分割協議書や相続税といった問題に取り組んでいきます。そこで、難問や
相続人間のトラブルに直面した時は、「天国にいる亡くなられた方はどう思って
いるのか?どうすることを望んでいるのか」その都度、考えます。
税のテクニックよりも、亡くなった霊の魂に耳を傾ける、手を合わせる、祈る。
そうすることで、不思議とアイデアや解決方法が見えてきます。
各相続人の話ばかり聞くことに偏りますと、どうしても利害、感情が重なり、
適正な判断に迷いが生じてしまいます。
宗教的な根拠のない話ではありますが、亡くなれた方や先祖を敬う気持ちは
昔ながらの日本の美徳であると同時に伝統です。
無機質な税金計算の中で、亡くなった方の想いを申告書の中に込める。
それが私なりの亡くなられた方に対する供養だと信じています。
相続の相は、人相の相、面相の相とも呼びますが、これを「すがた」と私の名刺に
書いています。「すがた」を続けることが相続ですから、亡くなった方の生き方、
後姿、生き様が後世に語り継がれ、続いてくお手伝いができればと、中秋の満月を
見ながら、再び相続税の申告書作成の仕上げに取り掛かります。
すべての問題点が満月のように丸くおさまることを願いながら・・。