非上場株式の時価の世界を解く~税務上の時価を整える~

 

前日の復習から。

 

非上場株式の売買時価は、4つの方法により算定されます。

収益還元価額方式、純資産価額方式、類似業種比準方式、配当還元方式です。

 

前日の事例では、一株の時価計算の結果は、

収益還元価額方式:50万円、

純資産価額方式:40万円、

類似業種比準方式:20万円、

配当還元方式:5万円、

でした。

 

まず、税務上の売買時価は収益還元価額方式を除く上記3つの方法により検討します。

収益還元価額方式は多少の主観的な要素が入るため、税務上の時価という観点においては、対象外とします。(例外もあります。)

 

ですので、ここでの議論は純資産価額方式、類似業種比準方式、配当還元方式の定義についてお話したいと思います。

 

まず、純資産価額方式とは、簡単にいえば、会社の決算書のひとつである、貸借対照表の金額です。

つまり、資産から負債を差し引いた純資産を株数で割ったものです。

この方式の特徴は、たとえ、近年、近年赤字状態であっても、社歴が長く、内部留保の高い会社は、株価は高くなる傾向にあります。

 

次に、類似業種比準方式は、自社の配当・利益・純資産と上場株式の配当・利益・純資産を比較して計算をする方法です。

端的にいえば、もし、自社の会社が上場した場合、いくらの値がつきますか、ということです。

ある意味、机上の空論に近い価額を算定しているのかもしれません。

 

最後に、配当還元方式は、配当に着目した算定方式となります。つまり、配当を多く出している会社の株価は高くなり、配当を全く出していない会社は、出資額の半分の株価となります。

 

一般的な傾向として、上記3つの計算の中では、純資産価額で計算した時価が一番高くなり、配当還元方式が一番低くなります。

 

そこで、税務上の時価の緩和策として、売買時価は純資産価額方式と類似業種比準方式の折衷案の採用が可能になっています。

つまり、純資産価額の2分の1と類似業種比準方式の2分の1の合算合計となります。

 

ここで、改めて、事例における税務上の時価を整理したいと思います。

 

一つ目は、純資産価額方式と類似業種比準方式の折衷案:@30万円

二つ目は、配当還元方式:@5万円

 

では、最初の問いに戻ります。

 

社長が従業員から買い取るべき時価はいくらでしょうか?

 

次に従業員が社長へ売るべき時価はいくらでしょうか?

 

あ、1分間過ぎてる!

 

つづく。