納税猶予・免除制度の要件

 

今回から相続税・贈与税の納税猶予制度の要件についてお話したいと思います。

ここからは、少し退屈な話になるかもしれませんが、最低限知って欲しいことを伝えたいと思いますので、読み飛ばさないでください。

 

まずは、本日は、相続税の納税猶予制度の要件です。

 

ポイントは三つだけです。

 

一つ目は、相続時点において、後継者が必ず「役員」であることです。

 

特に、先代の社長が亡くなった後に、後継者が従業員の立場から会社の経営を引き継ぐ場合は、この納税猶予の適用はありませんのでご注意ください。

 

二つ目は、適用期限の問題です。

 

もし相続時点において代表取締役の地位にない場合は、相続日より5ヶ月以内に代表取締役に就任し、代表登記をする必要がでてきます。

さらに!相続日より8ヶ月以内に、都道府県へ納税猶予申請手続きを完了しておかなければなりません。

この手続きが1日でも遅れてしまうと、そもそも、納税猶予の適用の入口に立てないということになります。

 

亡くなって、四十九日を終え、少しゆっくりして、さあ、相続税の申告手続きを開始しようかという従来の発想では、この納税猶予の手続きを行う上で、致命的な遅れとなります。

 

ですので、まずは、生前からの準備が重要な分岐点になることはいうまでもありません。

 

三つ目のポイントは、雇用維持の確保です。

 

これは、従業員の雇用の8割以上を相続申告期限の翌日から5年間平均で維持することです。

従業員の数は、常時雇用つまり原則社会保険加入ベースで算定することになっています。ということは、パートなどは含まず計算できます。

 

まずは、5年間の平均で雇用を8割維持する必要がありますが、パートを含まないで計算するので、パートの社会保険の加入を調整することで、雇用要件の8割維持をある程度調整することが可能になります。

さらに、グループ会社として複数の会社を所有しているのであれば、各会社の転籍を利用することで、8割維持の確保に柔軟に対応することもできます。

 

まずは、この三つのポイントを押さえておいて、

今後、本格的に納税猶予制度を進めていく上で、詳細な条件を確認してみてください。

 

では、次回、贈与税の納税猶予制度の要件を見ていきます。