相続税の現場から見た財産の分割方法
相続時における分割協議を行う場に立ち会う時は、やはり緊張します。
各相続人の思惑が、見え隠れするなか、なかなか本音がでてこないケースがよくあります。
お互いの感情が優先され、衝突するケースもあります。
その時の緩和剤として、税金の話は非常に役に立ちます。
「みなさんの気持ちはよくわかります。ただ、相続税の視点から話をさせてください。
税金の事を考えるのであれば、このように分割すれば一番安くおさまりますよ。」と
大方、税金の話をキッカケに、多少のわだかまりが残るにしてもスムーズにまとまるような気がします。
前置きが長くなりましたが、本日は相続財産の分割時における考え方についてお話をいたします。
特に配偶者がいる場合の相続は要注意です。
相続税では、一次相続と二次相続の合計税額により最適な分割を提案します。
*あくまでも税金的な視点です。
一次相続とは、例えば、夫が先に亡くなること。
二次相続とは、妻が亡くなること。
(順番は逆でも同じ事です。)
一次相続では、相続税における配偶者の税額の軽減制度を活用することができます。
配偶者の税額の軽減制度とは、配偶者が実際に取得した相続財産が法定相続分相当額(例えば、子供がいる場合は二分の一)又は1億6千万円までは、相続税の課税が発生しないという特例です。
まさしく、内助の功ということです。
ですので、財産の規模によっては、すべての財産を配偶者に分割しておけば、相続税の負担が発生しません。
ただ、この制度の利用は、次の相続を考えて検討しなければなりません。
例えば、奥さん名義の財産がほとんどないケースは、配偶者の税額の軽減制度を有効に利用することができます。
しかし、奥さん自身が既にある程度の財産を保有しているのであれば、上記軽減制度を利用してしまうと、奥さんの相続時に多額の相続税が予想されます。
だからこそ、バランスです。
先に夫が亡くなった相続税と、次に奥さんが亡くなった相続税の合計額を試算して、分割を検討してください。
一次相続の分割方法によっては、一次相続、二次相続の合計相続税額は何千万も差がでる可能性がでてきます。
相続税は、配偶者に非常に優遇された制度ですが、何も考えずに目先の相続税のメリットだけをみて分割してしまうと、次の相続は、、、ビックリしますよ。