相続税における土地評価額~広大地評価2~
前回の「広大地のクセ」と何か。
広大地に該当した場合、どのような土地もすべて、同一の計算式で評価計算されます。
その土地が宅地でも、農地でも、山林でも、地積が同じであれば、同じ評価額になります。
1,000㎡の市街化の宅地と山林が同じ評価になるのです。
現実としてはありえないですが、ここに、相続税評価の机上の空論が存在しているのです。
これこそが、広大地評価のクセです。
このクセを濫用した節税スキームが以前より問題視されています。
つまり、次のようなスキームで節税を図ります。
例えば、亡くなる直前に現金1億円で1,000㎡の広大地に該当する土地を購入します。
亡くなった後、その土地の相続税評価は広大地に該当するため、5,500万円で計算されます。
その後、売却すれば再び1億円の現金を手にすることができます。
つまり、4,500万円に相当する相続税評価を圧縮することに成功したのです。
相続税率が50%の方であれば2,250万円の相続税の節税になります。
これらのスキームが横行したため、平成29年の税制改正では、この広大地評価の見直しが発表されました。
具体的な改正計算項目は発表されていませんが、確実に言えることとして“増税”になることは間違いありません。
どこまで増税になるかは不明ですが、従来のような大幅な減額は見込めません。
健全な納税者にとっては踏んだり蹴ったりの改正ですが、今からできることを事前準備することをお勧めします。
上記の改正は平成30年1日1日より施行されます。
ということは、今年中に広大地に該当する土地を調査し、事前に贈与しておけば、従来通りに評価計算を適用することができます。
特に市街化農地や生産緑地にある土地については、ぜひ、検討してみてください。