信託のお供に○○を ~8月5日の相続講座の続編~
8月5日の相続講座において、次のような質問がありました。
「妻に財産(受益権)が移った時、受託者が夫の親族では気が引ける」と。
確かにその通りですね。その気持ちはよくわかります。
信託において、受託者は一番のポイントになる人物です。
受託者とは、委託者が財産を信じて託す人物です。
だから、強い信頼関係がないと成立しません。
妻にとって見れば、夫の親族は他人です。
委託者の妻は、受託者である夫の親族に、常に気を使って生活しなければなりません。
それでは、信託を継続する意味がなくなり、夫の想いが消滅してしまいます。
では、誰が受託者として最適であるか?
妻にとって最も信頼をおける人物は誰か?
受託者は、自分の事を誰よりも知っている、妻本人以外にありえません。
しかし、この形態になると、次への世代(夫の甥・姪)への財産移転が困難になります。
また、話が振り出しに戻りました。
妻にとって、最も信頼関係があり次の世代へ確実に財産を移転してもらえる受託者は誰?
(thinking time)
それは、”法人”です。
信託の活用を柔軟に対応する方法として、法人の設立は、ぜひ検討すべきです。
では、どのように信託を設計するのか。
まず、夫の生前中に法人を設立します。法人の株主は夫、社長も夫です。
そうすると信託の構成は次の通りになります。
委託者:夫
受託者:法人
受益者:夫
次に、夫が亡くなれば、(信託契約で)法人の株主は妻、社長も妻になります。そうすると信託の構成は次の通りになります。
委託者:妻
受託者:法人
受益者:妻
そして、妻が亡くなれば、(信託契約で)法人の株主は夫の甥・姪、社長も夫の甥・姪に移ります。そうすると信託の構成は次の通りです。
委託者:夫の甥・姪
受託者:法人
受益者:夫の甥・姪
このように、どの世代になっても、法人の株主と経営者を委託者と同一人物にしておけば、法人は委託者のコピーとして柔軟に対応することができます。
ぜひ、信託活用のお供に法人をおすすめします。